福祉用具(介護用品)レンタルとは

要支援・要介護の高齢者に対して、介護用ベッド、車いす等の介護用品・福祉用具を貸与する事業。利用者は、介護保険の適用により自己負担率1割で福祉用具をレンタルすることができる。


福祉用具レンタルを取り巻く環境

要介護高齢者の増加

日本の高齢化は世界に類をみない速さで進行しており、団塊の世代が75歳以上となる2025年には高齢化率(65歳以上人口が総人口に占める割合)は30%を超えると言われています。

この高齢者人口の増加を背景に、介護保険の対象となる要介護(要支援)の高齢者数も増加を続けており、2000年に介護保険制度が開始時の218万人から、2016年には630万人と約3倍まで増加しています。さらに、2025年には800万人を超えると言われる団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となるため、要介護(要支援)の高齢者は今後も急速に増加することが見込まれています。


介護給付費の急激な膨張

このような要介護高齢者数の増加に伴い、2000年の介護保険制度が開始時には3.6兆円だった介護給付費は、2016年には9.6兆円まで増加しており、2025年には21兆円にまで膨張することが見込まれています。

このような中で、年金・医療も含めた社会保障制度の持続可能性が問われており、国の厳しい財政事情からも、介護給付費の抑制が喫緊の課題となっています。


介護報酬のマイナス改定

このように介護給付費の抑制が叫ばれる中で、2015年度の介護報酬改定はマイナス2.27%2006年のマイナス0.5%の改定以来、9年ぶりのマイナス改定となり、ほぼすべての介護サービスの基本報酬が引き下げられました。

福祉用具レンタルについても、当初は軽度者に対する介護保険の適用を打ち切るという案も出ており、その影響の大きさが危惧されていましたが、最終的には複数の福祉用具を貸与する場合の価格の適正化のルールの制定に留まり、改定は比較的緩やかなものとなりました。

また、2018年度の介護報酬改定においても、貸与価格の上限設定等、貸与事業者への影響は軽微なもので留まっています。

しかし、今後の介護報酬改定においても、軽度者への福祉用具レンタルについて介護保険の適用対象外とする案が再び議論されることは必至であり、福祉用具レンタルについての介護報酬のマイナス改定については予断を許さない状況が続いています。


事業所数の増加と競争激化

福祉用具レンタル事業所の数は、2001年の3,658か所から、2014年には7,078か所まで増えています。この事業所数の増加により、業者間での競争が激しくなってきています。また、福祉用具レンタル事業は、仕入れ価格や物流・消毒等のインフラ整備等についてスケールメリットが効きやすい事業であることから、大手・中堅の事業者が順調に利用者数を伸ばす一方で、福祉用具卸会社のサービスを利用せざるを得ないような小規模事業者は、思ったように利用者を増やせず、収益性が悪化しているところも増えてきています。 

福祉用具レンタルのM&Aの現況

福祉用具レンタルのM&Aは売り手市場

福祉用具レンタルは、物流拠点、メンテナンス、消毒設備、仕入れ価格交渉について、規模の経済が効きやすい事業であるため、M&Aにより地場の小規模業者を買収し、規模拡大を目指す業界大手企業が数多く存在します。

特に、規模は小さくても、特定地域において高シェアを誇る中小福祉用具レンタル会社については、その会社を買収することで、既存利用者からの売上だけではなく、今後利用者を継続的に紹介して貰える地域介護事業所とのコンタクトも一括で獲得できるため、買い手企業の戦略地域に合致する福祉用具レンタル会社には、高い評価額が付くケースがあります。

一方、福祉用具レンタル事業の運営会社には小規模零細企業が多く、ある程度まとまった売上規模の福祉用具レンタル会社が売りに出ることはそれほど多くありません。そのため、一定規模の売上の福祉用具レンタル会社・事業については、非常な売り手市場にあります。具体的には、住宅改修を除く純粋な福祉用具レンタルの売上として年商5060百万円を超える会社・事業には、買い手が付く可能性が高いのが現状です。


福祉用具レンタルのM&Aスキーム

福祉用具レンタルのM&Aスキームでは、株式譲渡ではなく、事業譲渡や吸収分割が利用されることが多くなっています。多くのケースで、拠点や従業員は譲渡対象とならず、既存利用者、レンタル資産、介護事業所とのコンタクト等のみが譲渡対象となります。これは、福祉用具レンタルはスケールメリットが大きいビジネスであるため、既存の利用者のみを引き継いだ方が買手のM&A後の利益が大きくなりやすく、結果としてM&Aにおいて高い評価額を提示できるためです。

ただ、福祉用具レンタルの売上のみで1億円を超えるような規模の場合は、会社ごと買収した方が合理的な側面もあり、M&Aスキームとして株式譲渡が選ばれるケースもあります。

弊社の支援実績では、福祉用具レンタルのM&Aスキームとしては、80%が事業譲渡・吸収分割、20%が株式譲渡となっています。


福祉用具レンタル事業の売却相場

福祉用具レンタル事業について、(拠点・従業員は譲渡対象外で)既存利用者、レンタル資産、介護事業者とのコンタクトのみを事業譲渡又は吸収分割により売却する場合、概ね、年間の福祉用具レンタル売上(住宅改修売上は除く)の80%110%程度の評価額が付きます。

売上規模が大きい、展開地域の人口が多い、買い手の戦略的地域に合致する事業ほど、高い金額が付く傾向にあります。

ただし、福祉用具レンタルついては今後の介護報酬改定により、軽度者に対して介護保険の適用対象外とする改定が行われる可能性があり、このマイナス改定が実現した場合には、福祉用具レンタル事業の売却相場にも大きなマイナスの影響が出ると考えられます。


福祉用具レンタルの売却のメリット

各当事者にとって、福祉用具レンタルのM&A・売却・譲渡は以下のようなメリットがあります。

売り手

✓後継者問題が解消できる
✓創業者利益を得てアーリーリタイアできる。
✓借入金の個人保証を解消できる
✓大手の傘下で長期安定的な経営ができる 

買い手

✓未進出地域へスムーズに進出できる
✓利用者を紹介してくれる介護事業者とのコンタクトを一括で確保できる
✓規模拡大によるスケールメリットを享受できる 

従業員

✓雇用・処遇が維持される。
✓教育制度が充実する
✓買い手の大組織の中でキャリアアップの機会が得られる。

利用者

✓今までと変わらず介護サービスが利用できる。


インテグループが選ばれる理由

インテグループでは、全国の福祉用具/介護用品レンタルのM&Aを支援しており、福祉用具レンタルの売却・譲渡・買収を検討する多くの経営者様より高いご評価をいただいております。インテグループの強みは、以下の3点です。

1.完全成功報酬制

着手金を取らない完全成功報酬制のため、福祉用具レンタルのM&Aが成立しない場合でも手数料だけ取られてしまうというリスクがありません。

2.福祉用具レンタルM&Aの専門性と実績

福祉用具レンタルの売却・譲渡について豊富な実績を有しており、また、実際の売却に際しては福祉用具レンタルのM&Aに精通した専任コンサルタントが支援します。

3.中堅中小規模の福祉用具レンタルM&Aに特化

売上30百万円~20億円程度の福祉用具レンタルのM&A支援に特化しており、中小規模の福祉用具レンタルのM&Aについて豊富な経験とノウハウを有しています。

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福祉用具レンタル業界のM&A事例紹介

福祉用具レンタル業界における直近の主要なM&A事例は以下のとおりです。

時期 当事者 スキーム 概要
2021年 【売り手】
ホームケアサービス山口 

【買い手】
フランスベッドホールディングス

株式譲渡 フランスベッドホールディングスは、福祉用具レンタル等を手掛けるホームケアサービス山口を買収する。本買収により、福祉用具貸与事業のシェアを拡大し、事業基盤の強化を図る。
2021年 【売り手】
プロトメディカルケア 

【買い手】
ベネッセHD

株式譲渡 ベネッセHDは福祉用具レンタル等を手掛けるプロトメディカルケアを買収した。介護領域の事業拡大スピードを高め、高齢者の「自分らしく生きる」を支えるという社会課題の解決に寄与する。
2021年 【売り手】
キコーメディカル 

【買い手】
ココカラファイン

株式譲渡 ココカラファインは、福祉用具のレンタル・販売等を手掛けるキコーメディカルを買収した。本買収により、ドラッグストア・調剤事業・介護事業のより一層の連携を図る。
2021年 【売り手】
ケア・フレンド 

【買い手】
揚工舎

株式譲渡 揚工舎は福祉用具レンタル・販売事業を手掛けるケア・フレンドを買収すると発表した。本買収によりさらなる多角的な介護サービス提供を目指す。
2021年 【売り手】
フルケア 

【買い手】
インターネットインフィニティー

株式譲渡 インターネットインフィニティーは、福祉用具レンタル・販売等を手掛けるフルケアを買収した。本M&Aにより、事業エリアの拡大やサービス品質の向上、経営の効率化を目指す。
2021年 【売り手】
中日本信和 

【買い手】
トーカイ

吸収分割 トーカイは、中日本信和から福祉用具レンタル事業等を譲り受けた。本M&Aにより、中部地方での顧客基盤の拡大を図る。
2020年 【売り手】
日本ケアサプライ 

【買い手】
ALSOK

資本参加 ALSOKは、三菱商事と資本業務提携に合意し、福祉用具レンタル・販売を行う日本ケアサプライの株式を32%取得した。ALSOKは本提携により、介護事業者向けサービスや介護サービス利用者・高齢者向け生活支援サービスの拡充を図る。
2019年 【売り手】
ブティックス 

【買い手】
ヤマシタ

事業譲渡 株式会社ヤマシタは、ブティックス株式会社より介護用品、健康器具等を取り扱うeコマースサイトの運営事業を譲り受けることとした。
2017年 【売り手】
堀田介護サービス 

【買い手】
トーカイ

吸収分割 トーカイは、堀田介護サービスより、大阪堺市を中心とした福祉用具レンタル事業を買収する。当該M&Aにより、関西地方での顧客基盤の拡大を図る。
2017年 【売り手】
愛安住 

【買い手】
ココカラファイン

株式譲渡 ココカラファインは、福祉用具レンタルの愛安住を買収した。当該M&Aにより、既存介護事業の活性化を図る。
2016年 【売り手】
新和企業 

【買い手】
トーカイ

吸収分割 トーカイは、新和企業が大阪府内において展開している福祉用具レンタル事業を買収した。当該M&Aにより、関西地方における顧客基盤の拡大を図る。
2015年 【売り手】
虹の街企画 

【買い手】
セントケア・ホールディング

株式譲渡 セントケア・ホールディングは、秋田県において福祉用具レンタル事業を展開する虹の街企画を買収した。当該M&Aにより、東北エリアにおける事業基盤を強化する。
2015年 【売り手】
日本パムコ 

【買い手】
日本毛織

株式譲渡 日本毛織は、千葉県で訪福祉用具レンタル等を展開する日本パムコを買収した。当該M&Aにより、関東地方での地盤強化を進める。
2014年 【売り手】
ハピライフケア 

【買い手】
メディカル一光

株式譲渡 メディカル一光は、鳥取及び島根県内において福祉用具レンタル事業等を展開するハピライフケアを買収した。当該M&Aにより、介護サービス提供形態の多様化を図る。
2011年 【売り手】
日本ビコー 

【買い手】
ロングライフホールディング

株式譲渡 ロングライフホールディングは、首都圏で福祉用具レンタルを展開する日本ビコーを買収した。当該M&Aにより首都圏での事業基盤と収益の拡大を目指す。

インテグループの成約実績

以下は、インテグループがお手伝いした直近の福祉用具/介護用品レンタルの売却事例の一部です。

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福祉用具レンタルの買収希望情報

以下は、福祉用具/介護用品レンタルの買収希望情報(買い手ニーズ)の一部です。

No. 希望地域 予算上限 希望条件
1 全国 100億円 売上5億円以上
2 首都圏・長野・三重・兵庫 3億円 小規模でも検討
3 静岡県 1億円 小規模でも検討
4 首都圏 10億円 売上5億円以上
5 東京23区内 3億円 小規模でも検討
6 全国 10億円 小規模でも検討
7 北陸地方 10億円 小規模でも検討
8 首都圏・大阪・兵庫 3億円 小規模でも検討
9 東京・九州 2億円 小規模でも検討
10 静岡・愛知・大阪 1億円 小規模でも検討

福祉用具レンタルの買収希望情報一覧はこちら

福祉用具レンタルのM&Aニュース

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インテグループは福祉用具/介護用品レンタルのM&Aについて、豊富な実績と専門性を有しています。福祉用具レンタルの運営会社、または福祉用具レンタル事業の売却をご検討中の経営者様は、電話又は以下の問合せフォームよりお問合せください。

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