過去に受けた補助金の取扱い
介護施設の建設やスプリンクラーの増設等について過去に行政から補助金を受けている場合、M&Aの際にその補助金の取り扱いが問題になることがあります。
株式譲渡の場合は、介護事業の運営主体である法人は変わらないため、過去に受けた補助金が問題になることはありません。
補助金が問題になるのは、介護事業のみを事業譲渡する場合です。
行政によって異なる対応
介護施設等を事業譲渡する場合、過去の補助金に対する行政側の対応としては、主に次の3パターンがあります。
- 補助金の全額の返済を要求。
- 補助金の一部の返済を要求。
- 一定の要件を満たすことを条件に、補助金の返済を免除。
補助金の返済が不要となるための要件
補助金の返済を不要とするために、行政側が提示してくる条件は概ね以下の内容になります。
- 補助金により取得した資産については無償で譲渡する。
- 買い手は少なくとも○年間は補助金給付の目的に沿って介護事業を継続する
実務上は、「補助金により取得した資産については無償で譲渡すること」、及び「○年間は介護事業を継続すること」を最終契約書に明記し、行政側に提示することになります。
早めの相談が重要
補助金についての取り扱いがどうなるかの判断は行政によって異なり、またその決定に長い時間を要するケースもあります。特に、補助金の所轄が市町村から県や官庁に移管されてしまったようなケースでは、最終決定するまでに1年近くかかった事例もあります。
したがって、過去に補助金を受けた介護施設等を売却する場合には、M&A仲介会社への初回面談時に、そのことも併せてご相談いただくと、その後の対応がスムーズになりますので、ご留意ください。